インドア・アウトドアを行ったり来たりのスマート・ダッチオーブン

レビュー
岩手製鉄ダクタイルダッチオーブン
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ダッチオーブンとそれに準ずる鍋、そういうものをいくつか持っている。

アウトドアメーカー製のメスティン程度の小容量ダッチオーブン。これはキャンプオーブンの分類となる。それとキッチンオーブンの代表的なもの、フランス生まれの、オレンジ色の24cmココットが1台。それぞれ分類通り、アウトドアのシーンと自宅キッチンで使い分けている。

そもそもダッチオーブン、名前の通り、お鍋ではなくオーブンなのだ。煮炊きにももちろん使えるが、真骨頂は遠赤外線と対流熱を使ったロースト調理と深く圧力と火を入れて煮込む煮込み料理。

伝統的な屋外用のダッチオーブンは蓋が平らにデザインされている。蓋の上にも炭などの熱源を置いて加熱するためだ。いわゆる天火(てんぴ)。これで名前通りのオーブンの機能、上下からの加熱を実現している。

皆さんもキャンプでローストチキンなどを調理する写真を見たことがあるだろう。ダッチオーブンは全体からの加熱と蒸し焼きという機能を併せ持った調理窯なのだ。

蓋は庫内圧力を保つため重く作られており、内側に縁が立ててある。アウトドアユースのダッチオーブンではその蓋を使ったフライパン調理なども可能。焼き目をつけて油を逃すための溝を作ってあるものも多い。

鉄鍋は世界の各地で発生、発展し使われているが、ことダッチオーブンという名が付くものは鍋ではなくオーブンの機能を持つことが本筋なのである。

さて、普段2種のオーブンを楽しく使い分けているが、とても気になるダッチオーブンに出会った。それが岩手製鉄株式会社、岩鉄鉄器の「ダクタイル ダッチオーブン」だ。

おや!と興味を持ったのがまずその製造元。岩手製鉄株式会社という名前にピンときた。

岩手とくれば鉄の町。南部鉄器の鉄瓶は有名だ。

ホームページを見てみると岩手製鉄株式会社は1949年創業。鋳物鋳鉄事業を軸に各種金属製品設計製造と工場向け製造装置のエンジニアリングを主軸業務としている。そのなかで2016年から始まった鉄器事業開発プロジェクト。そこから生まれたのがこの桜のマークの岩鉄鉄器ブランドだ。

そんなバックボーンを持ったダッチオーブンやフライパン、スキレット。どれも気になるではないか。

今回使ってみたのがこの「ダクタイル ダッチオーブン」。小さなダッチオーブンだ。

まず驚いたのがその重量。宅配で届いたが、別のものが届いたと勘違いをした。いや、おかしい。ダッチオーブンでこんな軽いものがあるはずがない。しかし、その荷物は間違いなく「ダクタイル ダッチオーブン」であった。

驚いて箱を開けてみると、確かに写真で見た「ダクタイル ダッチオーブン」そのものだ。

サイズが近いイメージなので持っている小型ダッチオーブンと比較してみた。実際並べるとダクタイル ダッチオーブンのほうが少し大きい。スペック比較はこんな感じになる。

・小型オーブン       / 205×130×90 2kg 750ml
・ダクタイル ダッチオーブン / 250x160x85 1.5kg 1200ml 。

つまり容量は倍なのに重さはマイナスということ。恐るべき軽さと薄さなのだ。

持ち上げた時の軽い印象はこのハンドルにも秘密がある。

鋳造鍋としては異例の形状と繊細な薄さの美しいハンドル、下に向いていることで持ち上げた時に重さをを感じさせにくい設計なのだそうだ。蓋を返して重ねるとこの通り。ハンドルがきれいに揃う。こういう細部に拘ったデザインにも心惹かれる。

さて、調理!

その前にシーズニングは、、と説明を見れば、いらないとある。これもにも驚いた。

ダッチオーブンは買ってそのままでは使えない。使用前に鍋全体に油の被膜を作る作業が待っている。食器用洗剤とスポンジなどできちんと洗い、乾いた布で水気をとり乾燥。全ての面にオイルを塗り込みコンロ等で加熱、煙が出るまで油を焼き飛ばし、という作業を数回繰り返す。なかなかにハードルが高い。

この作業がなしで済むと言うのだからこれはもう普通の鍋を買ったようなものだ。とはいえ、油断せず丁寧に扱っていきたい。

まずは自宅のキッチンでローストチキン。

ダッチオーブンを持ったらやっぱりやりたいローストチキン。あれは誰でも一度は試さねばいられない。

「ダクタイル ダッチオーブン」はサイズがそれほど大きくはないのでローストチキンであれば本来もうひと回り大きいものでの調理が普通だが、たまたま売っていたSサイズの丸鶏を手に入れることができた。初めは半身で行こうと思ったのだがすっぽりとおさまった。

下ごしらえをして、オリーブオイルをひとまわししてから蓋を閉め、火にかける。

アウトドアでなら蓋にも鈍く燃える炭を置くところだが、家庭での調理ではガスコンロやIHヒーターとなり(「ダクタイル ダッチオーブン」はIH対応だ。)底部からのみ熱が入る。

ところが蓋と本体が噛み合わせがしっかりしているので、圧が上がりやすいこと、蓄熱性と熱伝導率が高く、温度が一定に保たれる鉄器の特性と相まって焼きムラとは無縁。

さて、仕上がり。

炭火で焼く野外調理の時のコゲのつき方とはまた違う、上品な仕上がりとなった。

これがもう、最高に美味しいものが完成してしまった。

サイズの問題で一緒に調理できなかった野菜類もオーブン内ですこし蒸し焼きにしてから仕上げに蓋を裏返して直火にかけ、オリーブオイルと塩だけでローストして焦げ目をつけた。

チキンも大変な美味しさに仕上がったのだが、野菜が素晴らしかった。オーブンで焼く野菜、甘みと旨味がこれでもかと引き出され、たまらない風味に仕上がった。

まったくもって、言うことなしのディナーに仕上がった。

さて、数日後。

天気がよい風の穏やかな日。今度は屋外でちょっとやってみたい料理があった。時節柄、遠出は控えたいと考えてのベランダクッキング。炊き込みご飯を作ってみようと思い立った。それというのも岩鉄鉄器のホームページの一文を読んだから。

「岩鉄鉄器ダッチオーブンなら、焼く、炊く、蒸す、揚げるといった様々な調理もこれ一つで可能です。蓋と本体が噛み合わせがしっかりしているので、少ない水分で蒸料理も得意な上、蓄熱性と熱伝導率が高く、昔の羽釜で炊いたように一粒ずつが立った、キラキラ光る極上のご飯が炊けます。」

おお、これだ。これなら炊き込みご飯、素晴らしいものができるんじゃないだろうか。

とは言え普通じゃつまらない。ここはひとつ、インドの炊き込みご飯、ビリヤニを調理してみよう。しかも手間いらずの手抜き方式。

ビリヤニはインドの炊き込みご飯だ。炒めご飯ではなく、炊き込み。だからこそ「ダクタイル ダッチオーブン」で作る意義がある。

いくつかの手法があるビリヤニの調理法だが、オーソドックスなもので行くことにした。ビリヤニはまずカレーを作る所から始まる。ビリヤニ用のカレーを作り、茹でた長粒米とカレーを交互に鍋に敷いて重ねていく、と言うやり方。これのカレーの部分をレトルトカレーで代用してみることに。

選んだレトルトカレーは新宿中村屋の「インドカレー海老のキーマ」。手に入れやすいこと、インド風であること、旨味が強そうであることを念頭に選んでみた。

長粒米は近所のインド食材店で買ってきた。わりと今では各所にそういう店が見つかる。「バスマティライス」の名前で売っている。なければタイの長粒米の「ジャスミンライス」を探すといい。こちらはたとえば木徳神糧の「タイ香り米」の商品名で450グラムの使いやすいポーションのものがカルディや京王ストア、通販ならAmazonや楽天でも手に入る。

まず長粒米を茹でる。「炊く」のではなく「茹でる」。少し芯を残して茹でてやり、お湯を切って一度流水で流してやるとぬめりが取れる。それが終わったらレトルト、温めずそのままよいのだが、ごはん、カレー、ごはん、カレーという具合に薄い層にして重ねてゆく。

あとは火をつけて蓋をするわけだが、様子をみながら焦げ付かぬように少し底に水を張ってやるといい。蒸し終わったらしゃもじでかき混ぜて完成。

写真をご覧いただきたい。ぱらぱらに仕上がっており、本場さながらだ。

南アジアの人たちはごはんを豆類的に捉えて調理しているフシがある。なのでもっちりツヤツヤと「炊く」というよりも「茹で」たあとに「必要のない粘り」を洗い流す、という考え方で調理しているように見える。そういうのを頭にイメージしながら調理するとうまくいくはずだ。

自分で言うのもなんだが蓋を開け、かき混ぜて食べてみると、想像を超えるクオリティにびっくりする。米の中にきれいにスパイスの香りと味が入っており、かといってべっとり重くなく、スプーンをぐるりと動かす感触はサラサラの海辺の砂で遊んでいるようだ。

少し焦がしたのだが、そこはご愛嬌。

そしてそのコゲも「ダクタイル ダッチオーブン」なら大丈夫。表面加工、この薄い鍋はなんとこの薄さで三層構造なのだが、その加工により焦げ付き、張り付きが極度に少ない。簡単に洗浄ができて手間がかからない。

しかし、これはまったくいいな。

米を茹でる手間程度でこんなに凄いものが仕上がるのか。自宅に来客でもあった時に披露してみたい。そう思える仕上がりだった。

とにかくこの「ダクタイル ダッチオーブン」、便利で仕方がない。

従来のダッチオーブンの常識を覆す極薄の製品で、イメージでは約半分の薄さと軽さ。これは岩手製鉄独自の「ダクタイル薄肉化技術」で実現されている。

熱ムラの少なさも、鋳造鍋の取手としては異例の形状と繊細な薄さの美しいハンドルも、鋳鉄でありながら1.6mmの薄さという世界最高性能も。特殊な表面改質処理でよくある鋳鉄ダッチオーブンに比べて圧倒的に錆びづらくなっていることも。シーズニングがいらないことも。

あまりにもチャームポイントが多いダッチオーブンなのだ。

「世界一軽く、錆びにくいダッチオーブン」を名乗るのは伊達ではない。

いままでの「使い、育てることがダッチオーブンの醍醐味」という概念を軽々と飛び越え、鋳鉄製調理器具の弱点をきれいに押さえ込んでいる。このことが「インドアとアウトドアを行ったり来たりさせたくなるオーブン」として成立している理由なのではないか。

たとえば一人暮らしのひとや夫婦二人、などの少人数の家族には使い出もいいと思う。

手間のかからない調理ができるので、材料を放り込んで弱火かけっぱなしと言う調理用途なら4人家族のサブの鍋として惣菜作りにも活躍するだろう。

そういうものが軽量を生かしてうちでも外でもしっかり使えるというのがとてもいい。

真っ黒に育てたかっこいいダッチオーブンはモダンなキッチンではちと持て余す存在感、甚だインドア的ではない雰囲気を湛えている。そこでこの「ダクタイル ダッチオーブン」だ。スマートにインドアとアウトドアを行き来できる。

きのうキャンプ場で熱い備長炭と灰にまみれれていたと思えば、今朝は自宅のキッチンで何事もなかったように朝食の付け合わせのじゃがいもをローストしてくれている。スマートなのだ。

鉄の鍋やフライパンは一生ものとよく言うが、手にしたときからその「一生もの」になることを予感、イメージできるのはこの「ダクタイル ダッチオーブン」ならではだと素直に感じる。

大事に使っていこう。

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はぴい

フードジャーナリスト、ビデオブロガー。食をテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」に5000記事の実食カレーレポートを掲載。著書 技術評論社「iP...

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