サイフォン式コーヒーメーカーで見て飲んで楽しむおうちエンターテイメント

遠い記憶。幼い頃に親戚が営んでいた喫茶店に行って、サイフォンでコーヒーを入れるのを見るのが大好きだった。
ぐつぐつ煮えたお湯がふわっと上に登って、マスターが竹べらをくるくるっと回すと、あら不思議、下に落ちてくる頃には褐色のコーヒーになっている。
まだ苦くて飲めなくても、意味は解らなくても、それはワクワクが止まらない素敵な魔法だった。
大人になって、コーヒーを存分に味わえるようになっても、そのときめきは変わらない。
本当なら熟練の職人の見事な手さばきと風味を堪能しに、カフェ巡りをしたいところだけど、今はおうちでできることを楽しもう。
だって、あの魔法をおうちでも使える便利なコーヒーメーカーがあるんだから!
『STAMP WORKS(SW) 自宅を楽しむプロジェクト』
SWが企画する「自宅を楽しむプロジェクト」に共感いただいたメーカーより製品をご提供いただき、編集部及びSWがネットワークする AUTHOR が実際に体験しレポートしていきます。
一緒に自宅を楽しみましょう!
商品提供:ツインバード工業株式会社
サイフォン式コーヒーはどんな仕組み?
今回体験したアイテムは、国内唯一の電気式であるツインバードのサイフォン式コーヒーメーカー。
そもそもサイフォン式は、フラスコ内の水が加熱されて中の蒸気圧が上がると、お湯が粉をセットしたロートに押し出されてコーヒーとなり、フラスコの加熱をやめるとフラスコ内の水蒸気が冷えて真空状態となり、コーヒーが引き戻されるという仕組み。
アルコールランプで温めるところを電気ヒーターになったこと以外は、コーヒーを入れる手順は全く同じだ。
火を使わない分、安全だし、緊張感のハードルは下がる。そもそもアルコールランプの燃料なんてどこで買うのよとか、要らぬ心配もすることもないしね。
まるで実験室。道具萌えの人はテンション爆上がり
家庭用だからといって、簡易式でパーツを省略している「なんちゃってサイフォン」とかじゃない。
このツインバードのサイフォンセットはどれも本格的で、ガラスサーバーとロートはプロ仕様のHARIO製、攪拌用の竹べらも標準装備。旧機種では計量スプーンの柄をへら部として兼用していて、「これじゃ気分出ないよ!」って声が多かったんじゃないだろうか。
サイフォンでコーヒーを淹れようとするこだわり屋さんは、絶対道具やデザインから萌えるタイプ。
全体のデザインもクラシカルで、テーブルにセットするだけで、にやにやするのだ。
豆の重さや湯量、抽出時間などでコーヒーの味が決まるので、「量る」ことや「計る」ことはすごく大事。調味料の重さを量ったりキッチンタイマーにしか使ってなかったうちのコーヒースケール、やっと本来の仕事ができてうれしそうだ。多分、持っていない人は絶対こういう周辺機器も揃えていきたくなるはず。
道具を一つ並べるたびに、ワクワク感の「ワク」が一つ増えていく。
理科の実験も始める前からめっちゃ楽しいんだよな。ま、始まったらもっと楽しいんだけど。
It’s Coffee Show! おうちエンターテイメントなティータイム
「いい?いくよ?」
テーブルをはさみ、これがサイフォンデビューとなる夫婦は緊張していた。
取扱説明書は何度も読んだ。コーヒー好きの知人宅で、サイフォンの華麗な手さばきをかぶりつきで見続けたことだってある。イメージは完璧なはずだった。
水を入れたガラスサーバーを本体にセットすると、「カチッ」という音と共に電源がオンになる。ロートを斜めにセットするのは、湯温が低いうちからサーバーを密閉させないためだ。
お湯が沸いてきて、チェーンから小さな気泡が出始めて、底からコンコンと音がしてきたら適温の合図。ロートをサーバーにまっすぐ差し込み密閉させる。
テーブルに顎を乗せてご飯を待っている子犬のように、サーバーをのぞき込んで待ってた私達が「これってお湯を温めてる間にコーヒー粉量っておけばよくね?」と気が付いたのは使い始めて3日後のことだった。
徐々にお湯がロートへ上がり始める。コーヒー粉が押し上げられるのと同時に、俄然こっちの気分も上がってくる。その浮いた粉と高揚感を上からおさえこむように竹べらで1回目の攪拌。
お湯が上がり切ったら、抽出時間を計り始める。目安は30秒から1分。
一度適当な時間で作ってみて、次回からそれを基準に好みの味になるように調整する。抽出時間が経過したら、サーバーをヒーターから下ろして、加熱を終了。
冷静に手順を語ってはいるが、デビュー夫婦の実際はこうだ。
「うわ!お湯上がってきた!どうする?いつ混ぜる?」
「混ぜるんじゃなくて、おさえるの!取説に書いてあったっしょ。」
「上り切る前?上り切ってから?」
「どっちでもよくない?(多分、よくない)」
「とっくに上り切ってるよ!ちょ、タイマー!」
もう、わやである。
ヒーターからサーバーを下ろしたら、コーヒーが下に落ちる前に素早く2回目の攪拌。コーヒー粉からムラなくスムーズに抽出できていれば、「泡・粉・液体」の三層になる。
ちなみに、上の写真は使い始めて4回目、だいぶ手順も慣れてまずまずの出来。味も確かに満足いくものだった。ここまで来るのに遠い道のりなのかと思ったけど、落ち着いて時間やタイミングを合わせられるようになれば、意外にすぐ味も安定してくる。
後はコーヒーが落ちきるまで待つだけ。やっぱり顎乗せ子犬ポーズで、コポコポ泡立ちながら増えていくコーヒーとサーバーのしずくを眺めてしまう。
ちなみに、ロートに残る抽出カスがドーム状になっていると良い抽出ができた証拠らしい。
これもうちの場合、結構最初からドーム状になっていたのだが、たまたまなのか、実は隠れた天才だったのか、このコーヒーメーカーが素人でも使いやすいのかは定かではない。
楽しいLIVEが終わった後の余韻というか、思いっきり遊んだ後の心地よい疲労感というか、「あぁ、面白かった!疲れたから、ちょっとお茶でも・・・」って言いかけた瞬間思いだすのだ。まだ肝心のコーヒーを飲んでないことを。
味に失敗などない。好みとその日の気分だけ正解がある。
確かにサイフォン式コーヒーは飲むまでが長い。
自動コーヒーメーカーのように、家事や仕事をしている間に出来上がっている便利さもない。
なんなら、飲み終わった後だってメンテナンスもちょっと面倒くさい。
慣れるまでは、もたついて抽出時間が長くなったり、ロートを挿すタイミングが早かったり遅かったり、ちょっとしたことで味はころころ変わる。
失敗したとその時は思うけど、飲んでみると、「この苦みも意外にアリ!」と、味のブレすら好みや気分でオールOKになる。事実、何度作ってもまずいと思ったことは一度もないし、毎回新しい発見もある。
その不安定さや面倒くささを全部ひっくるめて楽しむのがサイフォン式の醍醐味なのだ。
夕食後、「家族でトランプをやろう!」と同じノリで「さぁ、ティータイムにしよう!」とまたテーブルを囲んでサイフォンで盛り上がったりして。
じゃんけんで夕食の片付け当番とサイフォン当番を決め、二人またテーブルに集合する時には、冷蔵庫からちょっといいスイーツが登場したりして。
長いテレワークの間の気分転換として、タンブラーに多めのコーヒーを作って、仕事も乗り切れたりして。
おうちでも味わえる。おうちだから味わえる。いろんな形の楽しみ方がここにある。
このサイフォン式コーヒーメーカーは、心躍るエンターテイメントとして時間も味も豊かになる逸品だった。