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スマートで暖かい。うもうふとんを纏うようなマルチユースダウンジャケット

レビュー

そろそろ涼しくなってきた。シャツの上に一枚羽織って家を出る季節になった10月の東京の秋。

毎年この季節になると「まだ早いかな?」と思いながらも冬服を選ぶ楽しみはもうすでに始まっている。

ここのところダウンコート、ダウンジャケットを身につけていない。昔はモンクレールなどに憧れた頃があったものだ。値段、ものすごく高かった。スキー場で着ている女の子を見て「あの子に声をかけるのはやめよう」なんて思ったりした。

そんな懐かしい思い出もあるが、最近ではアウトドアウェアを身につけることが多く、機能性の素材を使った服は身につけているがダウンを使った服を忘れていた。ダウンの服は、軽いのだ。

ご縁あって、「生毛工房(うもうこうぼう)」ブランドの「ダウンジャケット」を試す機会をいただいた。

そのダウンジャケットを試す場所、状況がすごいところで思わず笑ってしまったのだ。なんと冷凍倉庫。確かにまだそこまで寒くないのでダウンコートが真価を発揮する場所が都内にはない。

気温がたとえば一桁台になれば試す価値も出てくるというもの。そんなことを思いながら約束の時間に横浜方面にある指定の冷凍倉庫にたどり着く。お話をうかがえば一桁台どころか、なんとマイナス20度の世界!これは少々勝手が違うぞと怖気付く。

木枯らし吹く頃なら、そりゃあダウンジャケットを羽織るにしても、その下にセーターなりウールシャツなりを重ね着するだろう。この日はうっかりシャツ1枚。パンツも薄手のコットンのジョガーパンツだ。

さて、どうなることやら。

「生毛工房」というブランド、実は失礼ながら存じ上げなかった。ご担当がいらっしゃったので色々うかがうと、大変面白かった。

ご存知のビックカメラグループの会社なのだそう。生毛ふとんにこだわり「日本一の『うもうふとん』を作りたい」と自社製造で理想的な製品を作れないだろうか、という想いから、高品質、お手頃価格の生毛ふとんをゼロからスタート、オリジナルで製造販売を始めたという話。

つまり今日着せていただく生毛のダウンジャケットはいわば着るふとん、と言うことが出来る。この時点ですでに生毛ふとんの温かさや軽さ、朝のふとんから出られないあの甘美な時間を思い出してうっとりとしてしまった。

ではふとんの製造販売が主の生毛工房、そこがなんでダウンジャケットを?と聞いてみると、生毛工房が扱うふとんに使っていたこだわりのダウン、とてもいいものなので、布団だけではなくもっと気軽に身近に感じてもらいたいと思い、だったら同じクオリティでダウンジャケットを製造してみようということになったそう。

洋服の成り立ちとしてはかなり面白いものだ。ストーリーがある製品はそれを聞いて好きになってゆくことがよくある。大事なポイントを聞けた。

いろいろ面白いなあ、など思っているとご担当、ビックカメラの袋からダウンジャケットを取り出して手渡してくれた。「ほら、ここ」と指差したビックカメラの例の袋。たくさんの取り扱いメーカーのロゴが入ったあの袋に「生毛工房」の名前。うん、なるほど!

手に持ったダウンジャケット、まず、驚くほど軽い。なんということだ。思い出した。こういうものだったか。いや、それは違う。想像を超えて本当にすごく軽い。ダウンジャケット、ダウン自体は軽くてもジャケットの素材やパーツでトータルもっと重くなるものも多い中、この軽さはなんだろう。もしやこれはすごいものではないか。

ダウンにこだわり、世界的にもその価値が高いポーランド産ダウンを自社で直輸入、現地まで行って品質チェックなどを行いなおかつ国内で再洗浄という手間をかけた高品質なものを使っているそうだ。

DNA管理までもがなされているポーランド産ホワイトグースダウン(がちょうの毛)を使っており、生毛工房では「生まれたまま純粋な姿」を表現するために羽毛(うもう)ではなく「生毛(うもう)」と呼ぶ。その由来はピュアであるというイメージ。それとフェザー(羽)ではなく、丸くふわりとした胸やお腹の毛であるダウンのみを使用、ダウン率を100%に近づけることにこだわっているそう。だからこその羽毛(うもう)ではなく「生毛(うもう)」なのである。

つまりダウンジャケットなどを着ていると知らぬ間にチクチクと出てくるあの羽根はこの製品にはほぼ無関係というわけだ。そしてダックではなくグースだから匂わない。さすが、布団に使われる高品質ダウンということだ。

ダウンジャケットに袖を通す。シュルリという感じのサラサラでスーッと腕が袖を通ってゆく感じ、肌触り。高級感を感じる。

サラサラと肌心地よく絹のような薄手に感じるナイロン生地だが実はアメリカ・ファーストダウンのヘビーデューティな製品でも使われるリップストップ(引き裂き防止)ナイロン生地で、ある程度の撥水性も有しているもの。なのにこのサラサラ感。

重さを感じさせないこれは、いろいろとわたしの既成概念をひっくり返してくれる。

わたしは身長180センチ、体重は90キロ台。LLを選んだ。細身というほどではないがすらりと見えるシルエットで重ね着しすぎるとちょっと窮屈かもしれない。長さはお尻がすっぽり隠れる膝上10センチほどか。ダウンジャケットという製品名であるが、ショートコートくらいの感覚だ。ジッパーは首元まで完全に上がる。ナイロンジッパーだが色合わせが上手で安っぽさはない。信頼のYKK製。ジッパータブは生毛工房のロゴが入ったオリジナルのしゃれた軽量のものがつく。

とにかく着心地がよく、特に首元までジッパーをあげると肌触りも悪くないし、暖かい。

さて、冷凍倉庫のマイナス20度の世界へ。

冷凍倉庫。これがもう、本物のみるからに冷凍倉庫でみるからにマイナス20度。上に張り出した通路の足元がガリガリに凍っているのがわかる。

ここにやって着た格好、シャツ1枚では3分と持たない。そんな格好の上に生毛工房のダウンジャケットを羽織ってみた。不思議だった。ダウンジャケットやダウンコートというものはどちらかというとぎゅっと閉じ込められてあったかい感じなのだが、この生毛工房のダウンジャケットは軽いからなのか、ダウンでギュウ詰めにされるあの感覚がない。ふわりとしているのだ。

そのくせ首元の立てた襟部分にダウンがいっぱい詰まっていてきちんと隙間を塞いでくれる。これだけでかなり暖かい。冷気が入ってこないのだ。袖にも調節用のボタンがついており、隙間風を防いでくれる。

暖かい。いや、暖かいというか、マイナス20度という環境の中で普通にしていられるのだ。こりゃあ驚いた。試しに自分で持って着たアウトドア向けのシェルパーカーを着てみたが、寒さに歯が立たない。

こんな驚き体験に加えて、この後日、キャンプに出かけるチャンスがあった。

キャンプやアウトドアが子供時代から好きで、定期的に出かけている。1日目は本栖湖のキャンプ場。標高900メートル。運悪く深夜の強い雨にやられてしまった。テントの寝袋の中で過ごし、寝つかれぬままの早朝、雨は止んでいた。

かなりの寒さになったが生毛工房のダウンジャケットを羽織ると都市部にいる時とまったく変わらない快適さだ。長袖ニット1枚にコーデュロイパンツという軽装にも関わらず、だ。

そうか、先ほどシルエットのことを「細身というほどではないがすらりと見えるシルエット、重ね着しすぎるとちょっと窮屈かもしれない。」そう書いたがそうではなかった。厚着する必要がないのだ。普段街にいる格好程度でこれを羽織れば標高900メートルの秋口のキャンプ場でも寒くない。薄着でいいのだ。かといって変に蒸れる感じもしないのが素晴らしい。

テントをたたんで白州、尾白キャンプ場に移動をした。標高750メートル。こちらでは雨を恐れてバンガロー泊まり。案の定結構な雨が屋根を打つ。バンガローの中でシュラフのジッパーを半分開けてその上に生毛工房のダウンジャケットをかけてみた。これがめっぽう使い出が良い。温度調節が簡単なのだ。これはまさにふとん扱いで、その扱いにちゃんと答えてくれる。

アウトドアのシーンでも、例えば焚き火の周りやトゲのある枝や草が生い茂る場所ではないのなら、十分使えてその上暖かい。デザインはあまりにもプレーンすぎて、実は初めは不満であった。が、この機能性。

そしてプレーンであることだからこそのシーンを選ばぬ使い出というところに気がつき、知らぬ間に大変に気に入っていた。帰り際にカバンに詰めて帰ったが、部屋に帰ってどこに入れたかわからなくなった。

あの大きく長いダウンジャケット、カバンに入れたらあまりにもコンパクトにまとまって、カバンの小さなジッパー付きのコンパートメントに押し込んだことを忘れてしまっていた。とにかくこれは使えるいいものだ。

プレーンなデザインで使い勝手がいい、きちんと暖かく、しかも軽い。小さくもなるしお値段も控えめ。
オンオフ両用、出張やビジネスユースまでカバーする。

これは1枚必ず手元に置いておきたいダウンジャケットだった。


本商品は、現在 STAMP WORKS STORE での取り扱いはございません。

はぴい

フードジャーナリスト、ビデオブロガー。食をテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」に5000記事の実食カレーレポートを掲載。著書 技術評論社「iP...

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